堺の治安シリーズの3つめです。
当サイトでは、【実態としての治安】【体感としての治安】の2つの視点から、堺の治安を評価し、「これくらいの治安だったらOKかな」と思えるようなところを選べるよう、治安について記事をいくつか書いています。
治安シリーズの記事は、こちらのリンクからご覧いただけます。
とくに、治安【堺の治安①】は、②③の前に読んでいただきたいと思っています。
【堺の治安①】治安はどうやって測る?
【堺の治安②】犯罪発生状況(他市との比較あり)
【堺の治安③】治安マップ
【堺の治安④】解説:治安マップの用途地域について
【堺の治安②】では、大阪府内の市町村の「犯罪発生率」を使って、【実態としての治安】の視点から堺の治安を客観的数字で比較し、
・堺の犯罪発生率は、大阪府平均よりも低い(治安が良い)
・どの区も、治安が良いイメージの住吉区より、犯罪発生率が低い
・東区と南区は、とても治安が良いイメージの箕面市より、犯罪発生率が低い
ということが分かりました。
このページは、【堺の治安③】として、
建てても良い建物、建ててはいけない建物が決められているルール(用途地域)を使い、【体感としての治安】の視点から、どんな建物があると治安が悪くなるか、堺の治安マップを見ていきます。
体感としての治安の良さ
【堺の治安①】では、治安が良い地域を選ぶには、実態としての犯罪がないのはもちろんですが、「体感としての治安」をより重視すべき、と書きました。
「体感としての治安が良い」を具体的にすると、
◆不審者がいない
◆酔っ払いがいない
◆たむろする人や騒ぐ人がいない
ということではないでしょうか。
このような地域であれば、引ったくりや盗難、痴漢といった犯罪だけでなく、喧嘩などの物騒なことも起きにくいと思います。
したがって、治安が良いところとは
◆繁華街ではない
(飲み屋、カラオケ、パチンコ屋、ゲームセンターなどがない)
◆住民以外の人がいたら違和感がある
◆たむろしたり集まったりできる場所がない
(駐車場があるような店舗などがない)
というエリアである、とも言えるでしょう。【あくまでも個人の考えです】
こういうエリアがどこにあるか分かれば、治安が良いところを選ぶことができますが、それには、ちょっとした方法があります。
治安がいいエリアの選び方
先ほど、治安が良いところを選びやすくなる方法がある、と書きました。
その方法とは、
★地域ごとに、建ててOK/ダメな建物のルールがあるので、ルールを見る
★そのルールに沿って、治安が悪くなりそうな建物が少ないエリアを選ぶ
ということです。
このルールを「用途地域」といいます。
ルールでは、普通のコンビニも建てられない地域、大きな店舗を建てても良い地域など13種類に分けられています。
用途地域の種類によって建てられる建物が変わるので、治安に大きく影響してくるのです。
そこで当サイトでは、用途地域の分類を治安のひとつの基準として、堺市の用地地域をつかって「治安マップ」を作りました。
マップを使って治安をイメージしてみましょう
こちらがマップです
「その地域に建てて良い建物のルール」として紹介した「用途地域」は 、地域を13種類に分類しています。
それを地図にしたものがこちらの図です。

マップの見方
堺市では、12種類の用途地域があります。
※本来の用途地域は13種類ありますが、堺は「田園地域」がないため12種類
住宅を建てることができる9地域と、工業系3地域に分けて
最も制限が厳しい「第一種低層住居専用地域」から、
最も繁華街になる「商業地域」まで
順に並べました。
表の右側の矢印の色が、
緑色が濃いほど治安が良くなりやすく、ピンクになるほど治安は損なわれがち
(住宅街よりも、繁華街に近づくほど治安は損なわれがち)
というイメージです。

つまり、
もっとも治安が良いのは、濃い青緑で塗られた「第一種低層住居専用地域」、
「治安が良くない」と感じやすいのはピンク色の「商業地域」
です。
これが実際の犯罪発生状況とだいたい合致する事実は、後ほどご紹介します。
なお、色のないところは「市街化調整区域」と言い、
市街化しないようにする地域(繁華街にならないようにしたり、どんどん建物が建つのを防いだりする地域)なので、
「住民や用事がある人しかいない」=治安が良い面
「人通りや建物も少なく、防犯カメラも少ない」=治安が良くない面
の両面があるでしょう。
補足:工業地域の3地域は判断しづらいので、治安の良さについては何とも言えません。「工業専用地域」は、工業地帯に適用されているような用途地域で、住宅を建てることはできません。
※用途地域の内容説明は、国土交通省サイトより抜粋
※用途地域の図は、国土交通省国土数値情報ダウンロードサービスのオープンデータから作成(2022年9月)
治安マップと、犯罪の実際の発生場所を比べてみる
ここでは、用途地域から作った治安マップを、堺市の犯罪発生場所を示した地図と比較してみます。
用途地域と犯罪発生の関係(用途地域がピンク色は犯罪が多い)を感じていただけると思います。
犯罪発生地点の付近が、紫・黄緑・ピンク・黄色のマークで示されています。
紫(カバンのマーク)…引ったくり
黄緑(帽子の子どものマーク)…子ども被害情報
ピンク(女性のマーク)…女性被害情報
黄色(走る人のマーク)…路上強盗
※ベースのGoogleマップに紛らわしいマークがあるのでご注意
堺市中心部の犯罪発生場所マップ【2024/1/1~12/31)】
まずは、犯罪発生場所を地図で見てみましょう。
下の図は、2024年1月1日~12月31日に発生した犯罪を表しています。
※アイコンの位置は、発生地付近を示すもので、発生地点そのものではありません。

※犯罪マップは、大阪府警の「安まち」というアプリから作成しました。
※アイコンの位置は、発生地付近を示すもので、発生地点そのものではありません。
犯罪発生場所マップに治安マップを重ねます
犯罪発生場所マップに、治安マップを重ね合わせてみました。
上から、2024年、2023年上半期、2022年の3種類です。
※2024年と2023年上半期は、重ねる作業の簡素化のため、市の中心部のみです
※小さい地図をつなぐ作業をしているので、年によって地図の大きさが異なるのはご容赦ください



治安マップの用途地域の色を透き通らせて重ねたので、少し見えにくいかもしれませんが、、、
・犯罪が発生している地点は、ピンクや黄色に塗られた地域が多く
(繁華街になるほど犯罪は発生)、
・濃い緑の地域は、ピンクや黄色よりも犯罪が少ない
(建てられる建物のルールが厳しい地域ほど犯罪が少ない)
となっています。
子ども被害(黄緑)も、どちらかと言うとピンク色に塗られた地域の近くで起きている傾向がありますね。
【用途地域と治安は関係している】
【どんな建物があるかが地域の治安に大きく影響している】
ことを感じていただけたかと思います。
※これだけでは、「意外と堺が安全なまちである」というのが伝わりにくいので、「追記:大阪府内の他のところの犯罪マップ」に、他の市の犯罪マップの画像を張り、偏見がある考えですが、所感を述べています。下の方までご覧ください。
治安に影響する建物があるか…詳細を見る
それぞれの用途地域がどんな地域なのかを見て、治安に影響しそうな建物は建つのか、どんな人に向いている地域なのか、を見ていきましょう。
※紹介はあくまで簡単にし、詳細は【詳堺の治安④】治安マップの用途地域 で解説します。

第一種低層住居専用地域:静かでゆったりとした環境
便利さよりも環境重視の方に向いている地域です。
第二種低層住居専用地域:閑静な環境と、多少の利便性がある
静かで穏やかな雰囲気がありながら、少しの店舗もある地域です。
第一種中高層住居専用地域:ある程度の静かな環境、生活の利便性がある
低層戸建がメインの地域に比べると人通りが多くはなりますが、ある程度の静かな環境と利便性が両方ある地域です。
第二種中高層住居専用地域:中規模の商業施設が可能で、生活利便性が高い
マンションなどの中高層住宅を建てるための地域です。利便性を求める人が多く集まりやすい地域だからか、スーパーに行っても、お惣菜や冷凍食品が充実していることが多い印象です。
第一種住居地域:利便性を重視できる
住居の環境を保護するための地域ではありますが、閑静な住宅街というより、利便性重視の地域です。
第二種住居地域:にぎやかな街
「主として住宅の環境を保護するため定める地域」なので、一定の住環境は守られる地域ではあります。
ですが、静かな環境よりも、遊べる環境に住むことを重視する方に向いているでしょう。
準住居地域:車移動がメインの方におすすめの地域
住居の環境の保護とともに、自動車関連の利便も図る地域なので、車移動がメインの方に向いているでしょう。
近隣商業地域:利便性と娯楽性を求めることができる地域
近くの住民が日用品の買い物などをするための地域なので、利便性重視の方におすすめしやすい地域です。
商業地域:にぎわいのある地域
にぎわいを生み出す地域なので、騒々しくなりがちな地域ですが、まちなかでの暮らしを求めている方にはおすすめできます。
風俗施設の建築も認められいます。
※「準工業地域」「工業地域」「工業専用地域」は割愛します。
追記:大阪府内の他市の犯罪マップ
2024年1月1日~12月31日の犯罪発生場所マップで、堺市と大阪市のを比較してみましょう。
まずは堺市の中心部の犯罪発生場所マップです。

続いて、大阪市の犯罪発生場所マップは、繁華街の難波・心斎橋、オフィス街の北浜・淀屋橋を含む、住宅地としても人気の北区・西区・中央区・阿倍野区・天王寺区、城東区のエリアです。

この図は、堺市と同じ縮尺なのですが、犯罪発生マークの数が急増しています。
他の犯罪マークで埋もれて見えにくいですが、堺のマップでは0件だった路上強盗(黄色)も、1件だけだったひったくり(紫色)もあります。
このあたりは、近年、マンションが増加し、子どももたくさん住んでいる地域です。
人によって価値観はそれぞれですが、子どもをこういう地域に住ませたくないなと思います。
ここから先は、かなりの偏見だと自覚しつつ、あえて文字にします。
同じマークでも、堺市と大阪市の犯罪の詳細を見ていくと、ちょっと雰囲気が異なります。
例えば、女性被害情報。
大阪市中心部では、盗撮、痴漢、つきまとい、という内容が多いです。
堺市ではこういった被害もありますが、「不審者情報」が多いです。
「写真を撮らせてくれ等と声を掛けられた」「露出している男性がいた」というような「不審者情報」です。
堺市内ではこういう不審者に遭遇した時、「不審者情報」として通報する方が多いということです。
ですが、大阪市のど真ん中で、知らない男から「写真を撮らせてくれ」と声を掛けられても、逃げて終わりにして、警察に届けない人も多いのではないでしょうか。
実際に私は、大阪市内でつきまといながら大きな声で卑猥な言葉を浴びせてくる男がいても、逃げて終わりにしたことがあります。
同じマークでも、被害の内容が違うので、単純に件数だけでは比較できないのです。
そう思うと、
「知らない男から声を掛けられたら、危険なことと判断して警察に言う」
「下半身を露出している男がいたら、警察に言う」
という行動を起こせる地域は、
「危険なことを容認しない、ゆるさない」ということでもあり、
「警察に言えば対処してくれる」という信頼感でもあり、
みんなで安全安心を守れる地域なんだと改めて感じました。